文献はBMJ,2021 Sep 29;374:n2106. doi: 10.1136/bmj.n2106.です。
方法
・Randomised controlled trial
・United Kingdom
・2015年3月〜2019年6月
・標準治療または標準治療による早期CT冠動脈造影に1:1でランダム化され、ブロックサイズ(4〜8)でブロックランダム化された
・元のサンプルサイズの計算は、約20%の1年あたりの死亡または心筋梗塞率から推定された。90%の検出力と<0.05の両側P値として、2424人の評価可能な患者の1年あたりでの死亡、心筋梗塞が20%から15%減少することを検出する必要があった 。 最初の716人の参加者を検討した後、全体的なイベント率は6.8%(95%信頼区間5.2%から8.9%)で予想よりも低く、サンプルサイズを1735人の参加者に再計算し、 80%の検出力と<0.05の両側P値で6.8%のイベント率に修正した。
・Cox比例ハザード回帰は、研究サイト(ランダム化を層別化するために使用)、GRACEスコア、および以前の冠動脈性心疾患に合わせて調整された。
Patient
・急性冠症候群が疑われる症状のある、または急性冠症候群の診断がある、1つ以上の冠動脈性心疾患の既往歴がある成人
・心筋トロポニンのレベルの上昇がある
・心電図(ECG)の異常がある成人
Intervention
標準治療+早期CT冠動脈造影
Control
標準治療
Endpoint
primary endpoint
1年後のすべての死因またはその後の致命的ではない1型(自発的)または4b型(ステント血栓症に関連)の心筋梗塞の最初のイベントまでの時間
結果

・ベースラインにほとんど差なし




・ランダム化からCT冠動脈造影までの時間の中央値は4.2(四分位範囲1.6-21.6)時間
・CT冠動脈造影では、178人(23%)の患者で正常な冠動脈、222人(29%)で非閉塞性、359人(47%)で閉塞性が確認された。












・primary outcome:1年以内でのすべての死因または致命的でない心筋梗塞(タイプ1または4b)は初期CT冠動脈造影群の877人のうち51人(5.8%)および標準治療群871人のうち53人(6.1%)で発生した(調整済みハザード比0.91(95%信頼区間0.62〜1.35)、P = 0.65)。両群で有意な差はみられなかった。
・サブグループ分析では、どの比較でも有意な異質性はなし。 両群間に差がみられなかった。
まとめ
・早期の冠動脈CT検査は死亡や心筋梗塞の1年以内の発生に効果があるとはいえなかった。
・冠動脈CTは侵襲性が低かったり、入院の必要性がなかったりなど利点もみられるため、明らかな心筋梗塞を疑う場合以外や新修正のある検査(CAG等)を行うか迷う場合などに考慮してもよさそう。