トラネキサム酸投与は消化管出血の死亡リスク低下に効果があるか?【HALT-IT trial】

クマ医師
クマ医師

少し前の論文ですが、これまでの治療に一石を投じたと思われる文献をまとめます!

トラネキサム酸は、血栓の分解を阻害することにより、出血を抑えます。

トラネキサム酸は、外傷性および分娩後出血の患者の外科的出血を減らし、出血による死亡を減らします。

上部消化管出血に対するトラネキサム酸のランダム化試験の体系的なレビューとメタ分析には、合計1654人の参加者、7件の試験が含まれ、トラネキサム酸によるすべての原因による死亡率の大幅な減少がありました(リスク比[RR] 0.61、95%CI 0.42–0.89; p = 0.01)。ただし、小規模な試験のメタアナリシスは、出版バイアスやその他の選択バイアスが発生しやすく、大規模な多施設試験の結果と比較した場合、陽性尤度比が低くなります。さらに、全体としても、メタアナリシスに含まれる試験もsmallであるためトラネキサム酸が血栓塞栓性有害事象に及ぼす影響を評価困難でした。

デザイン

・international, randomised, double blind (participants and trial staff), controlled trial

・164 施設 in 15 国 (UK, Pakistan, Nigeria, Egypt, Malaysia, Georgia, Romania, Nepal, Sudan, Saudi Arabia, Spain, Ireland, Albania, Papua New Guinea, and Australia)

・修正された主要転帰に基づいて、出血による死亡のリスクを4%と仮定すると、12,000人の患者を対象とした研究では、臨床的に重要な25%の相対的な死亡の減少を検出する能力が約85%(両側αが5%)です。 4%から3%への出血による。

・2013年7月4日から2019年6月21日まで

・患者は最初の出血に対してのみトラネキサム酸(またはプラセボ)を投与されました。トラネキサム酸は半減期が短いため(約2時間)、2日以内にほとんど消失します。 そのため、トラネキサム酸が無作為化の数週間後に再出血エピソードによる死亡を減らすとは予想していませんでした。 したがって、primary outcomeは、2018年11月21日の無作為化から5日以内の出血による死亡に変更されました。

・修正されたprimary outcomeに基づいて、出血による死亡のリスクを4%と仮定すると、12,000人の患者を対象とした研究では、4%から3%への出血による臨床的に重要な25%の相対的な死亡の減少を検出する能力が約85%(両側αが5%)でした。

・修正ITT解析

Patient

・自国で成人と見なされる最低年齢(16歳以上または18歳以上)を超えている

・担当の臨床医がトラネキサム酸を使用するかどうかが実質的に不明である

・重大な出血の診断は臨床的であり、重大なものは出血による死亡のリスクとして定義され、低血圧、頻脈、またはショックの兆候のある患者、または輸血または緊急の内視鏡検査または手術が必要となる可能性のある患者が含まれた。

Intervention

トラネキサム酸投与

Control

プラセボ投与

1gのトラネキサム酸またはプラセボ(塩化ナトリウム0.9%)の負荷用量を0.9%塩化ナトリウムの100 mL注入バッグに加え、10分間かけてゆっくりと静脈内注射し、その後3gトラネキサム酸またはプラセボを1Lの等張静脈内溶液に加え、125 mg / hの維持用量で24時間注入しました。

Outcome

primary outcomeは、無作為化から5日以内の出血による死亡リスク比

・secondary outcomeは無作為化から24時間以内および28日以内の出血による死亡、28日でのすべての原因および原因別の死亡、24時間以内、5日以内、および無作為化、手術または放射線介入から28日以内の再出血でした。
血液製剤の輸血、血栓塞栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症、脳卒中、心筋梗塞)、発作、その他の合併症(その他の重大な心臓イベント、敗血症、肺炎、呼吸不全、腎不全、肝不全を含む)、集中的な日数 ケアユニット、および機能状態。

結果

12,009人の患者が登録され、トラネキサム酸(n = 5,994、49.9%)または対応するプラセボ(n = 6,015、50.1%)のいずれかを受け取るようにランダムに割り当てられ、そのうち11,952(99.5%)が最初に割り当てられた治療を受けた。

無作為化から5日以内の出血による死亡は、トラネキサム酸群の5956人の患者のうち222人(3.7%)、およびプラセボ群の5981人の患者のうち226人(3.8%)で発生しました(RR 0.99、95%CI 0.82–1.18)。 ベースライン共変量(0.98、0.82–1.17)を調整した後、およびper protocol解析(0.94、0.71–1.23)でも同様の結果が得られました。

サブグループ解析でもグループごとの有意な死亡リスク比の低下はみられなかった

・致命的または非致命的な血栓塞栓性イベントおよび動脈性血栓塞栓性イベント(心筋梗塞または脳卒中)のリスクは、トラネキサム酸群とプラセボ群で類似していた。

静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症または肺塞栓症)のリスクは、プラセボ群よりもトラネキサム酸群の方が高く、維持量を投与されなかった患者を除外した後も同様のリスクが観察されました。 (トラネキサム酸42 vs プラセボで20; RR 2.11、95%CI 1.24–3.59)

secondary outcomeに関しては原文をご覧ください

まとめ

・消化管出血に対するトラネキサムさん投与は投与後5日以内の死亡リスク低下に効果があるとはいえない結果だった。

・トラネキサム投与により静脈血栓形成リスクが上昇した。

・トラネキサム酸投与量が4g(日本では0.5g/日)と多いのが気になるが、トラネキサム酸の効果が小さいことにはかわりなさそう。

・今回の試験は大規模臨床試験であり、東アジア人対象、28日時点でのprimary outcomeの場合どうなるかも気になるが、トラネキサム酸の効果が人種で大きく変わるとは考えにくいので臨床的に参考にしてもいいと思います。

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